My Adler Story

上司の顔色を伺ってばかりだった私が、横の関係で手に入れた「対等な対話の勇気」

Tags: アドラー心理学, 職場の人間関係, 横の関係, 自己肯定感, 対話の勇気

アドラー心理学を通して幸福になる勇気を見つけた人々の体験談ブログ、「My Adler Story」へようこそ。

今回は、私が職場で上司との人間関係に悩み、アドラー心理学の「横の関係」を実践することで、いかに「対等な対話の勇気」を手に入れたかをお話ししたいと思います。この体験が、今、職場での人間関係やプレッシャーに悩む皆様の一助となれば幸いです。

上司の評価に怯えていた日々

私は営業職として長年働いてきましたが、40代に差し掛かり、中間管理職の立場も任されるようになっていました。部下を指導する立場でありながら、私自身は上司の評価や顔色を常に気にしてしまうタイプでした。

新しい企画を提案する際も、「これで上司に怒られたらどうしよう」「否定されたら自分の評価が下がるのではないか」といった不安が常に頭をよぎり、結局、自分の意見を明確に伝えられないことがよくありました。会議では上司の意見にひたすら耳を傾け、反論はおろか、質問すらためらってしまう。そんな縦の関係性が、私の中には深く根付いていたのです。

その結果、自分の仕事に対する主体性が失われ、何よりも「これでいいのか」という自己肯定感の低さに悩まされる日々が続いていました。仕事の成果が出ても、それは上司の指示に従った結果だと感じ、心から喜べない。そんな閉塞感の中で、何とか現状を変えたいともがいていました。

「横の関係」という概念との出会い

そんな時、たまたま手に取った一冊のアドラー心理学の書籍が、私の心に深く響きました。その中で特に私の目を引いたのが、「横の関係」という概念でした。

アドラー心理学では、人間関係を「縦の関係」と「横の関係」に大別します。「縦の関係」とは、優劣を伴う関係であり、相手を支配したり、逆に支配されたりする関係です。これに対し、「横の関係」は、お互いを尊敬し、信頼し、対等な立場で協力し合う関係を指します。

私はこれまで、上司との関係を完全に「縦の関係」として捉えていました。上司は絶対であり、私はその指示に従うべき存在であると。しかし、「横の関係」という考え方は、私にとって衝撃でした。上司であっても、一人の人間として対等な存在である。そこには優劣ではなく、協力という目的がある。この考え方に触れた時、自分の凝り固まった人間関係の捉え方が、音を立てて崩れていくような感覚を覚えました。

勇気を出して実践した「対等な対話」

「横の関係」という概念を理解したものの、長年の習慣をすぐに変えることは簡単ではありませんでした。それでも、私は少しずつ実践を試みることにしました。

最初のうちは、具体的な行動ではなく、まず「上司も一人の人間である」という意識を持つことから始めました。上司の言葉の裏にある意図や、彼らが抱えるプレッシャーにも思いを馳せるようにしたのです。

ある時、私が担当していたプロジェクトで、上司と意見が食い違う場面がありました。過去の私なら、上司の意見が絶対だと諦め、自分の意見は飲み込んでいたでしょう。しかし、今回は違いました。私は事前に自分の意見を論理的に整理し、その提案が会社やチームにとってどのようなメリットをもたらすのか、具体的なデータも添えて準備しました。

そして、上司との個別面談の場で、勇気を出して自分の意見を提案したのです。「〜という点で、私の意見はこうです。この方法には〜というメリットがあると考えておりますが、いかがでしょうか。」と、一方的に反論するのではなく、あくまで「対等な提案」として伝えることを意識しました。

結果として、私の意見が完全に採用されたわけではありませんでしたが、上司は真剣に私の話を聞いてくれました。そして、私の提案の良い点を取り入れつつ、最終的な方針を決定してくれたのです。この経験は、私にとって大きな一歩となりました。自分の意見が尊重されたこと、そして、建設的な議論ができたことへの喜びを感じました。

関係性の変化と自己肯定感の向上

この小さな成功体験を皮切りに、私は「横の関係」を意識した対話を心がけるようになりました。上司からのフィードバックに対しても、以前のように「怒られている」と萎縮するのではなく、「私を勇気づけようとしてくれている」「より良い成果を出すための協力」と捉え、建設的に受け止められるようになったのです。

具体的な行動としては、以下のような変化がありました。

これらの変化を通じて、私の内面にも大きな変化が訪れました。上司への過度な恐れが薄れ、尊敬の念とともに、一人の人間として対等なパートナーシップを築こうという意識が芽生えました。自己肯定感も向上し、仕事に対する主体性を取り戻すことができました。そして何よりも、上司との間に以前よりも深い信頼関係が築けたと感じています。それは、私が「対等な対話の勇気」を手に入れた証だと確信しています。

勇気ある一歩が未来を拓く

アドラー心理学の「横の関係」は、相手を変える魔法ではありません。それはまず、自分自身の心の持ちよう、人間関係への捉え方を変える「勇気」を与えてくれるものです。私はこの「勇気」を持って一歩踏み出したことで、上司との関係性だけでなく、仕事への向き合い方、そして自分自身の幸福感までも変えることができました。

もし今、職場の人間関係や評価に悩んでいる方がいらっしゃるなら、ぜひ「横の関係」という視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。最初は小さな一歩かもしれませんが、その一歩がきっと、あなたの「対等な対話の勇気」を見つけるきっかけとなり、より豊かな人間関係と、あなたらしい幸福な未来を拓くことにつながると信じています。